第0回〜イケメンとの遭遇〜

待ちに待った入所。ネットで応募したせいでわけも分からず当日に20万円相当の金を持ち歩き、バスがあるのに無理に電車に乗っていこうとした挙句寝坊して結局電車がなくて初日から遅刻をした。実は授業に遅刻するのはこれが始めてだったりする。
まあ初回だし中の制度を知らなかったから遅刻は許されたが、基本私の通っていた教習所は遅刻厳禁である。1秒でも遅れたら授業を受けさせてもらえない。
さてはてそんなわけで、申込書もインターネット経由からもらったものなのでオケ専用の申込書があることなど知るはずもなく、たまたまサークルに交響楽団と書いていたおかげで普通の学生料金より5000円ほど安くなった。ちなみに私の大学のオケと私の行った自動車教習所は提携しているらしく、団員なら特別価格で通うことができる。
その日入所した人は見渡す限り男まあ高校時代男の群れの中で過ごした私にとっては別に問題ない。教習の指導員の説明を聞きながら模擬実習の日程だけ決めてその日は帰宅。
模擬実習の日も見渡す限り男で、まあ全体5人だが。まあそれでバーチャルな運転(ハイテクではない)をして、まあ私は予想通りつまずいて他の人と遅れをとるということに。その時指導してくださった指導員からその時模擬実習をしていた人たちにそれぞれの担当の指導員の名前を言い始めた。
他の4人はいかにも指導員らしいおじさんたちと順調に話をしているのに対し、私の指導員だけなかなか現れない。本当は私は教習に入所なんかしてなかったのではないかと微妙に疑いながら、模擬実習を担当した指導員と一緒に待っていたらどうやら現れた様子。模擬実習を担当した指導員と一緒にその人の下へ。
紹介された時の第一印象


何故イケメン!?


そして若い。説明しがたいのだが、オリエンタルラジオの藤森を縦だけ少し縮めてかわいくして眼鏡をとってもかっこよくしたような感じ?太い黒ぶち眼鏡をかけたお兄さん。
なぜだ、なぜ実習を受けたほかの男たちは普通におじさんだったのに、私だけイケメンのお兄さんなんだ(泣)。
そう、私はイケメンが大の苦手。しかしこれは試練だ、耐えるんだ武藤!
「君の名前は武藤ちゃんだね」
ちゃん付けしないでくれえ(泣)!
私が嫌がっているのが態度に出ていたのか、彼はそれから私のことをちゃん付けしなくなったが、初対面にちゃん付けされたのは初めてだ。
耐えるんだ武藤、これはイケメン恐怖症を克服するための試練なんだ!

 閑話休題

学科実習で私の担当指導員となったイケメンのお兄さんが授業をした。1回は草の日(9月3日)の話をしていた。(おう、これはドラえもんの誕生日だ←関係ない)しかしそれは彼の作った適当な記念日だということを本人から聞かされる。
もう1回は普通だったが「合図を出さんやつは許せん、憎い」と言っていた。後ほどこれに関連する体験を第2回で述べる。合図というのは曲がる時に左や右をカチカチ鳴らしたり、ブレーキを踏んだ時に後ろの赤いランプがついたりするあれである。原付ちゃんとバイクにまでちゃん付けしていたところを見るとちゃんをつけたがるタイプなのだろうかと思えてきた。

 第1回〜イケメンの信念〜

バーチャルと面会を終えていよいよ第1回目の技能実習。始まる際に黒ぶちのお兄さんから武藤さんと呼んでもらう。二時間連続で、私が車に乗るのが初めてということなので、乗り方・降り方から教えてもらう。
(実はバーチャルで教えてもらったのだが、鶏並に物忘れの激しい私はすっかり忘れてしまっていた。
発進と停止からやった。ここら辺は普通の教習と同じだろう。どうやってもらったのかは人それぞれだと思うが。
ここからは、私が意味も分からずMTをとったということで、ATの人は分からないかもしれないが、クラッチとかギアとか頻繁に使うのでご了承ください。
発進の際はローギアで半クラッチにして動き始めたらゆっくり離していく・・・。いきなり離したら車体が大きく揺れるからである。
正真正銘のビビリである私は押した状態からゆれないようにゆっくりクラッチを上げていくのだが、何回か失敗して車体を揺らすことがある。しかしながら、なんとか揺らさないように努力しているので、操作を誤ったらどれくらい揺れるのかイケメンの兄さんが実践してくれる。

ガックンガックン

はうあ!

分かったよ、揺らさないように気をつける。どうやったらあんなに揺れるのか分からないけど(実践してもらった意味ねえ)。
最初は一時停止した後にクラッチ離してよくエンスト起こしてたよなあ。停止するたびにエンスト起こすから、クラッチは絶対抑えといてって言われたくらいだしなあ。
そんなわけで、ゆっくり動かす練習だけかと思ったらそんなわけなかったわけで、いきなり外周で40キロ出せとか言われてすごくびびってたなあ。40キロってあんなに速かったんだな、親がいつもそれ以上出しているから全然分からんかった。
40キロまで上げる時(確かこの時はそこまで上げるのも一苦労だったな)、ギアチェンジをするのだが、3に入れないといけないのにローに入れてたり5に入れてたり、本当にすんません状態だったな。5に入れた時は速度の上がり方が違ってたよねと言われたが、正直そんなこと考える余裕なかった。てんぱってたから。
そしてそれよりひどいのがハンドル操作。キープレフトと言われているのに全然左に寄せられてない。カーブを曲がる時もハンドル操作がうまくできずにぶつけそうになってお兄さんに助けてもらった時もしばしば。曲がりすぎて対向車線に乗り出したり。ハンドルって難しいね。
とまあダメダメな初回だったわけだ。
そして聞かれた一言
「武藤さんのオケネームってなんて言うの?」
何故オケネームの存在を知っているんだ。まあオケって言ってるから・・・仕方ないか。とまあアセロラと言っておく。(本当のオケネームは例の即席麺でかつ北○の拳の某キャラクターのあの名前である。)
「じゃあこれからアセロラさんって呼ばせてもらうね」


はい!?


いや確かに、別にオケ名でもいいって言ったけど、本名で言うやつ大学に入ってからほとんどいないけど。
でもオケ外の人にオケ名で呼ばれるのは抵抗あるぞ。
「おれ、オケの人はオケネームで呼ぶって決めてるんだ」


なんだその決まりごとは!!


それはぜひとも拒否したかったなあ。

 第2回〜イケメンの本性〜

教習所につき、ガラス越しにお兄さんを待つ。このガラス、反射して後ろの様子がよく見えるのだ。直接見ろって話だが。指導員の人はガラス越しに見えるはずだからヘキサゴンを見ながらガラス越しに黒ぶちお兄さんを待つ。あの眼鏡結構目立つから分かりやすいんだ。
しかし、なかなか現れない。そしたら現れてないのに武藤さんとお呼びがかかった。誰だと思い、振り向いてみる。

本当に誰だ!

眼鏡を取っただけだった。
眼鏡を取っただけで誰か分からなくなるなんてよっぽど黒ぶち眼鏡は存在感があったんだな。
眼鏡をとってもイケメンなんだな。眼鏡とかとらなくてもいいから人相はあまり変えないでほしかったなあ。私がビビってしまう。
今回は一時間。
今回は交差点について。そう、すなわち絶妙なハンドル操作といまだ習得できてない発進と一時停止の能力が必要とされる。
しかし、スピードを伴うものや、ややこしい手順などははあまりないのでその点については楽か?でも外周走る時はスピード上げろって言われるなあ。
この回で一時停止の手順は習得することになる。しかし、いまだ覚えられない発進と停止と言う課題はまだ残っている。
交差点と言えば、曲がる時に合図が必要になる。それはいつ出せばいいか少し問題は残っているが、それよりも問題なのは合図を出した後に寄せると言う動作。これ、キープレフトができない私にとってかなりの難題。
そう、キープレフトとか言う以前に車体を道路に対してまっすぐにするのが苦手で、いつもずれまくって直しまくっていると言うわけなんだが、交差点で曲がる時、左の時は左に、右の時は右に寄せないといけない。右の時は対向車線にはみ出してしまうと言うこともある。しかし、問題なのは右じゃなくて左のほう。キープレフトと言うすこし左寄りで運転すると言うことすらできないのにそれからさらに左に寄せるなどぶつかりそうで非常に怖いのである。怖がらないでとお兄さんに言われるのだが怖いものは怖い(爆)。
交差点にくるたびに車が通ってて通れない状態であってほしいと頻繁に願っていた(笑)。
動かしている時は事故にあうかもしれないとき、止まってたら少なくとも自分は悪くないから自分で事故を起こすことはないしね。
交差点で動けない状態になるときに
「いけんなあ」
とお兄さんが言うたびに、次の動作に移せない状態の「行けない」と言う意味なのか、岡山弁で「だめだ」と言う意味なのか非常に理解に苦しんだ。というか、私は前者で捉えてたが、もしかしたら後者で使っていたのかもしれないと思った。この解釈にもし違いがあれば指示を間違って受け取って事故につながるケースもあるかもしれないのでどちらか知りたいところである。
終盤になってお兄さんの指示も長くなり、鶏頭の私の記憶力も限界を向かえ(笑)、赤信号で止まっていた時に一度だけ確認をとった。
「この交差点を曲がった後突き当たりの交差点を右ですか?」
「そうそう、右に・・・」
少し沈黙
「違うわ、左じゃった」

どっちやねん!

これ、信号が青になった直後くらいに言われたからかなりあせったことを覚えている。
結局そのまま正面の車庫に入れることになったのだが、さっきの交差点で一時停止していたときに、バイクが合図を出さずに曲がっていった。助手席のほうから声がした。
「合図も出さずに曲がりおって・・・」


はうあ!!


その呟きが怖かった。
さっき閑話休題で述べたように、このお兄さん合図を出さない人が憎いらしい。この人の前で合図を忘れたら殺される。
みなさん、合図はちゃんと出しましょう。そうしないと私の助手席に座っているお兄さんが怒ります。

 第3回〜イケメンの動揺〜

今回も眼鏡をかけていない。あれはイメチェンだったのか?私的には黒ぶち眼鏡のほうが・・・(自主規制)。
と言うわけで今回は踏み切りと坂道発進と低速走行の練習。そう、これハンドル操作もスピードもいらない操作だった。最初はぎこちなかったペダルの操作も回数を重ねていくたびに少しずつであるが上達していったため、足の操作に関してはお兄さんの言うとおりに動かすことができるようになった。
踏み切りに関しては、窓を毎回閉め忘れるのだが、それは私が窓の開け方しか教わらなかったために閉め方が分からないためである。・・・聞けよ。
坂道発進は足の操作が問題になるので、エンストぎりぎりまでクラッチを上げて失敗なくすべての回を終わらせることができた。これもお兄さんの実演にビビっていたな。失敗で1メートル以上下がったら試験中止だって。ちなみに手順はまた今度教えてもらったときに覚えることにする。鶏頭だから。
低速走行に関しては、クラッチの操作が重要になってくる、アクセルの操作は少々へましても問題ない、ということをお兄さんから教わったため、クラッチに集中してアクセルの動力の上下に関しては気にしない方向でやった。ちなみにこれはあまりにも進むスピードが遅すぎてお兄さんが進んでいるかどうかの判断に困った場面が一回だけある(笑)。ちなみに私は目と体でしっかり進んでいることを認識していた。まあバックの時だったから後退していたという表現のほうが適切かな?
とまあここまでだったら、私は優秀なドライバーだった(えっ)というだけで終わるのだが、最後に私のダメなスピードを出してハンドルを操作する練習をされた。さすがお兄さん、私の苦手な分野が分かってる。
やはり外周を回って40キロを出す練習とカーブの練習を最後にやった。ハンドルはまだまだだが、実は足の操作とギアチェンジはうまくできるようになっていた。ちゃんと40キロ出した後減速チェンジも行えるようになったんだぞ。まあまだ40キロにはビビっているが、今回なんかスピード出すのが気持ちよくなってきてしまったから中毒にならないよう気をつけないと。
とまあそんな感じで私から見ても自分なりに思ったよりできたと言う内容だった。これは自慢ではない、自分でもこんなことありえないと思っている。
終わりにお兄さんは私でも分かるような欠点をいつもなら述べてくれるのだが、今回は
「今回は・・・うん、よくできてたね」
ああ、どうもです。
「えーと、アセロラさんもともと足の操作はうまかったですからね」
ハンドル操作は致命的ですけどね。
「えーと、なに言えばいいんだろう」


なんか言ってください。


別に無理にあら探ししなくていいと思います。ほめ倒しでもいいと思います。もちろん私をダメにするだけですけどね。
このあと私と会話がしたいのか、私の地元について話を始めた(この時期に私の地元の川が氾濫した)。
私の地元の地名のイントネーションがおかしかったため、正確に訂正しておいた。
そりゃあイントネーションは大事だよ。

 閑話休題その1

オケで掃除をしていた時に、教習に通っている2人の先輩と会話をした。1人は試験シュミレーション装置「マッスル」(仮)を使ったテストで4回目で合格したと言うことを話していた。もう1人は私と指導員が同じらしい。すなわちあのお兄さんのことである。
とまあその先輩は私より入所した日が20日ほど早いのだが、私のほうが技能実習が進んでいた。・・・あれ、なんでだ?
その先輩とお兄さんとは予定が合わないらしい。私には結構入れてくれるのだが。
その先輩に先輩もオケ名で呼ばれているかどうか聞きたかった。

 閑話休題その2

そういえばお兄さんが第3回の時に「そろそろマッスルちゃんも受けといてね」と言っていたので、次の技能教習の前日に試験シュミレーションのテストを受けに行った。とうとう試験シュミレーション装置にまでちゃんをつけてしまっていた。
さっさと合格して帰りたかったのだが、テストはそんな簡単にいくわけもなく、不合格になるのも面倒なので、二時間ほど自習してから受けてみたら一発合格だった。
それからまた練習しますか?と聞かれたが、頭が疲れたのでやめて、バスが出て行った直後に終わったので次のバスが来るまで一時間ほど待って次のバスに乗った。タイミング考えろ。
バスに乗った後おもむろに携帯を取り出したら誰かから電話がかかっていた。私の携帯はその時バイブレータ機能がぶっ壊れていて、携帯を取り出さないと着信が分からないようになっていた。それでその日に学校からかかってきた電話を5回ほど無視していたから、学校からだろうかと思っていたが、学校の電話番号は電話帳に入れているので学校からきたなら学校だと分かるような表記がされているはずだが、このときはどこから来たかわからなかった。と言うのも見たことのない番号だからだ。・・・いや、見たことはあったはずなのだが同じような電話番号なので分からなかったのだ。さすが鶏頭。

その電話はお兄さんからだった。

教習のバスの中で会話するのは気が引けたので、電話に出ようか迷ったのだが、何故この人はバスに乗った時に電話をかけたがるのかいまだによく分からん。
そう、最初に出会ったときも後から電話がかかってきてその時技能実習の予約を入れたのだ。その時もバスの中だった。
まあ最初の時は後から電話で会話しようという話を聞いたからまだ対応できた(それでもバスの中でかかってきたからびっくりした)のだが、この日は何でこのタイミングで電話がかかってきたのかさっぱり分からなかった。
その直後に「マッスルお疲れ様です」という言葉を聞いて、私が教習所に行っていたことを知ったのだと知った。うーん、何故教習所にきたら電話をかけるのかいまだに不明だが。
電車の中は通話しちゃダメだけど、公共のバスって通話してもよかったっけ?
そして用件は・・・
次の次の技能実習の予約だった。
次の実習は翌日やるからその次の実習の予約をしようということだ。
しかし、お兄さんが提案してきた日にちは予定があり行くことができなかった。
それで電話は終わった。
これって翌日の実習の日にもできるのだが・・・。
いったい何のために電話をしてきたんだ?
お兄さんの行動はよく分からない。

続く

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